先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「でも機嫌の悪い時に近寄りたくはないですよね~」

横から今度は私の同期、置田光宏23歳が話しかけてくる。
170cm茶髪の無造作ヘアでクリっとしたネコ目が印象的な営業部の期待の新人、と、本人が言っている。
調子が良くてムードメーカー的存在。

営業部でなかなかのイケメン揃いのこの3人は注目の的だ。

「置田君まで…」

花笑さんは眉をハの字にして困り顔。

「二人ともこんなとこで無駄話してたらそれこそ課長の怒号が飛びますよ!」

私は思わず助け舟のように二人に言った。

「へいへい、外回り行ってきま~す」

「あ、俺も。松崎この書類たのむな」

書類を花笑さんに渡して行こうとする日野さん。
二人はこれから外回りか。

「わかったわ。いってらっしゃい。」

にっこり笑って送り出した花笑さんを見て二人が一瞬動きが止まる。

ん?

「あ、ああ、いってきます。」
「いってきま~す」

「あっ、いってらっしゃい」

私も言ってみたけど、置田君が「おう!」と言って出て行った。

かすかに、今のもえた~って聞こえたけど?
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