先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

零れる涙雨

花笑Side
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こうくんと映画を見て、少しショッピングモールを歩いた後、帰る途中でスーパーに寄って食料を買い込んで私の家に向かった。
1DKの私の部屋は女の子には人気の木がふんだんに使われたナチュラルモダンな部屋で広さも丁度いい。
こうくんは何度もこの部屋に来たことがある。

お互いの家に行き来する仲だというのになんとも健全な付き合いで、この間、酔いつぶれた私をこうくんは自分の家に連れて帰ったけど、あの日が初めてのお泊りだった。
抱きしめられたまま寝落ちしてしまった私は、朝起きたらこうくんのベットに寝ていて、こうくんはソファーで寝たらしく、その夜は何もなかったようだ。

手を出す気にもならないということはやっぱり自分には女の魅力がないのかと、自信が持てない原因の一つでもある。
それを考えると落ち込むけど、久々にこうくんに手料理を振る舞えると思うと俄然やる気が出た。

これでも料理は得意でお菓子も作る。
バレンタインなんかも手作りのショコラケーキを作ったりしている。けど、こうくんには真剣な想いを込めたケーキも軽く「サンキュ」と言ってあっという間に食べてしまう。
嬉しいような、切ないような…。

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