先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

花笑Side
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～お前が好きだ～

ずっとずっと好きだったこうくんが初めて好きだと言ってくれた。

初めて出合って一目ぼれした中３の春、私にとってこうくんが初恋だった。
ときめきながら勉強を教えてもらった１年間。
告白して振られたけどその後も変わらず他愛ない連絡をくれた７年間。
入社して再会してから辛かったことも嬉しかったことも…
今までの事が走馬灯のように思い出されて、涙がぽろぽろ零れていく・・・・・。


・・・・
漸く涙も収まり、背中を摩ってくれていた手が、ぽんぽんと合図のようにしがみ付いていた腕を緩める。
おずおずとこうくんの顔を見ると、今まで見たことがないくらいやさしい顔をして見つめてくるから、恥ずかしくなって赤い顔をして目をそらした。

「花笑」

優しく呼びかけられ、また目を向けると、額をこつんと合わせてきた。

「最初はただのバイト先の教え子だったのにな…いつの間にこんなに目が離せなくて、愛しく思うようになったのか…」

「まだ、子ども扱いするの？」

もう子供じゃないと訴えたい気持ちで見つめ返す。

「いいや、もうお前は魅力的な大人で、俺の女だ」

「っ…」

嬉しすぎて言葉が出ない。また涙が溢れてくる。
大きな手が頬を拭い引き寄せる。

「ほんっとにお前は泣き虫だな・・」

そう言って近づいてくる唇を見つめ、目を閉じた。

初めてのキスは触れるだけで離れていき、ドキドキしながらも物足りなさに目で訴える。
顔に掛かる髪を耳にかけられ、そのまま耳をなぞられ、ピリッと甘い電流が走った。
じっと見つめる瞳がほんとに優しくて、想いが溢れ言葉に出さずにいられない..

「好き、こうくんが好き。世界中の誰よりも、大好き…」

「ああ、知ってる‥」

こうくんらしく自信満々に答えて、また唇を寄せる。
最初は軽く啄むように、段々と深くなっていくキスは、しょっぱい涙の味から甘く蕩けていき、漸く思いがかなった幸せを噛み締めた。