先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

過去との対決


廊下で置田君に会ったので声をかけた。

「置田君、お疲れ様。今から外出?」

「あ、はい」

なんだか元気が無いように思えるんだけど気のせいだろうか?

「置田君大丈夫?具合悪いとか無い?」

「え、全然元気ですよ!なんでですか?」

「大丈夫ならいいんだけど。なんだか元気無いように見えたから。何か心配事があるとか?私でよかったら聞こうか?」

「……」

なんだか心配で聞いてみたけど、黙りこむ置田君。
聞いちゃいけなかったかな?と思ってたら、「ちょっと」と急に腕を取られ、人気の少ない突き当たりまで連れてかれた。

「どうしたの置田君」

「あの……」

俯いて暫く言い淀んでいたけど、意を決したように顔を上げた

「花笑さん姉貴と一度ちゃんと会って下さい」

「えっ…‼?」

姉貴って確か…

「置田操です。」

驚いて言葉を失う。
苦悶の表情を浮かべる置田君

「この間、日野さんと話してるの聞いちゃったんです。姉貴との事を。あの後自分なりに調べてみたんですけど…」

「お、置田君?何言ってるの?」

その先を聞きたくなくて言葉を挟んだけど、

「男の取り合いして姉貴から嫌がらせされてたとか、噂に振り回されてたとか、周りからも無視されてたとかしてたって」

最後まで言われて、その頃のことが思い出されて青ざめる。下を向いて震える体を無意識に抱き締めていた。


「姉貴、嫌がらせするようなやつじゃなくて、何か理由があるんじゃないかと思うんです。姉貴に聞いてみたけど話してくれなくて…って花笑さん?」

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