セナカアワセ
「待って!」




そう言われて腕を掴まれる。




「なんで、由果?」




「さーね。教えない。」




掴まれた腕を振り切ると私はまた階段を駆け降りる。




心臓がバクバクしてる。




話せた、言えた。



「あっ、那美香!」




栞里が手を振っている。



私は走って栞里に思いっきり抱きついた。




「うわっ!!何!?どうしたの?」



「、、、、、、遙人と話せた。」




「えっ!?、、、あいつ、近づくなって行ったのに。」




「由果ちゃんからの伝言伝えて、なんで由果ちゃんって聞かれたから、教えないって逃げてきた。私のこと散々苦しめて、誰が教えてやるかっつーの!」



私がそう言って思いっきり笑った。



「そう。まぁ、那美香がスッキリしてるならいいよ。でもあいつ、もう1回殴らないと気が済まない。」




「えぇっ!?殴ったの!?」



私がそう言うとまぁちょっと、と栞里が笑う。




「帰ろっか。今日お兄ちゃんが前見たがってた映画借りてきたから見ようよ!明日休みだし、泊まってっていいからさ。」




「本当に!?見る見る!!ありがとう、栞里!」




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