セナカアワセ
「それは、違う。だって、遙人はバスケしたかったんでしょ?」



「うん。だから、傷つけた。」




「でも、由果ちゃんが怪我したのは遙人のせいじゃないよ。」



「俺が!!!俺があの時、呼び出したのが駄目だった!!!逃げた由果をもっと早く捕まえていれば良かった!!!」



見たことのないような目で遙人が声を荒らげる。



立ち上がって、ふらふらと歩き出す。



「どこに行くの!!」



手を掴もうと立ち上がると、また手を振り払われる。



「どこでもいいだろ!!、、、那美佳だって、良かったじゃん。ずっと俺の弱み探してただろ。お前の秘密なんてもうどうでもいい。今はもう!!、、、1人して。」



そう言って走っていく遙人。



待って、



待って、



行かないで。



私間違ったの、かな?



かける言葉を間違えた。



まだ言いたかった言葉を言ってない。



私がいるよって、



もう過去に囚われないでって、



そういうはずだったのに、、、、



私の頬を大量の涙が伝う。



寒いのに



全然止まらない涙



「那美佳っ!!!!」



息を切らして、栞里が走って来た。



私はただ走ってくる栞里を見たまま、呆然と立ち尽くす。



「那美佳っ、、、、大丈夫?」



そう言って私をぎゅっと抱きしめる栞里。



そこで私の中でずっとギリギリで保っていた糸が切れたのか、



声上げて泣いていた。



「うぅーーーーーーっ、悔しいっ、なんにも力になれなかったっ!!伝える言葉、間違えちゃったっ!!痛かったっ、手が、胸が、全部痛いっ!!」



泣きながら出た言葉に栞里はずっと、うんうんと頷いてくれた。



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