セナカアワセ
「ずっと悩んでたなんて、、、、言ってくれれば良かったのに。でも、勇気がいるもんね。」




「ごめんね。ありがとう、聞いてくれて。」




「私こそ。っていうか、なんで古典文学好きになったの?」



あっ、これは他の人に初めて話すかも。



「それは、授業で。ムカついたんだ、源氏物語読んで。」



光源氏は女の人をとっかえひっかえ選んで、最悪な人!!って思ったのが興味を持ったきっかけだった。



「女の人達はみんな純粋に恋してるのに、光源氏だけそんなに何人も好きになって!そんなの可哀想って思ったのが最初。」




私は熱く語っているのに、栞里が急に爆笑し始めた。



「あーーー、ほんとに那美佳ったら!!昔の話だし、実際にあったわけじゃないのにっ。あはははっ!やっぱり白黒つけたがるんだねー。」



「白黒っていうか、恋人は1人じゃん!でも、読んでいくうちに、あーこういうことかーとか、ちょっと光源氏の気持ちも分かったりして。」




「そっかー。ほんとに好きなんだねー。」



「うん!」



今、私が栞里とこんな話をしているなんて。



思ってもみなかった。



明日、先生にお礼言わなきゃ。



「それでーーーー、今那美佳は新しい恋してるの?」



急にそんなことを言われて、私は飲んでいたジュースを零しそうになった。



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