【完】さつきあめ
目の前にある、自分の興味があるものは我慢出来ない。
そんな性格らしく、この1ヵ月ゆいと過ごしてみて、彼女の性格がよくわかるエピソードは沢山あった。
まず、原田とそういう関係がありながらも、ホストやらメンズパブの男の子ともそういう関係を持っている。性にも奔放らしい。
モテるけど、特定の彼氏は作らない。
少しは行動をたしなめたくもなるが、あっけらかんと「何が悪いの?」と悪びれもしない彼女を見ていると、確かにどう生きるかは個人の自由とも言える。
わたしたちは本当に仲が良かったと思う。
お店では年齢が一緒なのもあり、まぁわたしは年齢を誤魔化しているが。
ゆいは犬みたいにわたしによく懐いてきた。
でも猫のような奔放さもある。そのギャップが彼女の魅力なのかもしれない。
事実、は?と思うような行動をゆいがとっても、何故か許せてしまう。
物怖じしないその性格も、少し羨ましく思う。
「ん~、おいしーい」
口元についたパンケーキの生クリームをぺろりと舐める。
ゆいはお客さんにお店で微笑みかけるのと同じように、にこにこしながらわたしの前に座っている。
「あぁ、今日指名で来るお客さん1人来なくなっちゃったぁ…」
携帯に連絡が入り項垂れるわたしを見て、ゆいは目を丸くしていた。
「さくらって本当に仕事に真面目だよねぇー」