【完】さつきあめ
七色グループ。

この街での系列店は4つ。

5年でここらでもトップに上り詰めた。このグループを束ねる頂点に君臨するのは、宮沢朝日 という男。

会長というトップの肩書きには似つかわしくなく、彼は28歳といういう若さでお金と地位と名誉を手に入れた男で、このあたりの繁華街で働くものならば彼の名を知らないものはいない。若くして成功を手に入れた敏腕経営者だった。

彼をピラミッドでいうのならば頂点に見立てて、4つのお店がある。また、その4つのお店にもランクがつけられていた。

女の子のレベルもお客さんのレベルも、もちろんそのお客さんが払う金額も高い、高級キャバクラ「ONE」写真でしか見たことのない店内は、高級をまるで絵に描いたような造りになっている。

次に、こちらもわたしはパネルやインターネットサイトでしか見たことがないが、ONEに負けず劣らず綺麗どころばかり揃えた「双葉」キャバクラにしては珍しく漢字の名前で、店内は和で統一されてるらしく、働いている女の子の平均年齢もONEよりは少し高め。
キャバクラには珍しく「ママ」という制度を置いている。どちらかといえばクラブ寄りの店になっているらしい。

ついで、ONEや双葉に入れる女の子が敷居高めというのもあるのだが、面接にくれば大抵採用になるという「THERR」大衆キャバクラにあたる。ONEや双葉に比べれば良心的な値段で遊べる設定になっている。

そして、最後に

わたし、さくらが面接にいった「シーズンズ」価格帯はTHERRと対して差はないが、改装したばかりという店内は中々綺麗だ。それもそのはず、このシーズンズはふたつき前にオープンしたばかりの、七色グループ4店舗目の系列店なのである。

オープンしたてなので、キャストは皆同じスタート!働きやすいお店です!と、よくある謳い文句が綴られた求人を見て、わたしは面接にきたのだ。

もちろんそれだけが目的ではなかったのだが、わたしは18歳の夏にこのシーズンズでさくらという新しい自分の人生をスタートさせたのである。

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