【完】さつきあめ

けれどわたしたちは同じ店にいて、同じ舞台に立つのなら、友達じゃない。

「そこまで言うなら、来月勝負しようか?
もしもあたしがナンバー1になったらさくらお店辞めてくれる?」

お店を辞める?
ゆいのしてきた提案はわたしが考えもしないような事だった。
どんなに辛い事があっても、悲しい事があって、お店に行けなくなっても何とか踏ん張ってここまで来た。いつもその先に光がいたからだ。

「お店を辞める?」

「うん、七色グループ辞めて。
七色グループにも一切関わらないの。あ、あたしに勝つ自信ない?
あたしが本気を出したら、さくらどころかゆりさんにだって勝つ自信はあるよ?」

「いいよ……、その代わりあたしが勝ったらもう凛さんの事を悪く言ったり、ヘルプの女の子を人間扱いしないような態度は止めてね」

「へー、本当に条件さえも甘ちゃんだね。まぁいいよーあたしがさくらに負けるわけないから」

そう言ってふっと笑い更衣室を出ていく。
それと入れ違いで入ってきたのは、凜と美優だった。

凜は大きくため息を吐いて、じっとわたしを見つめる。

「忘れ物を取りにこようとしたら入れる雰囲気じゃないったら…」

「さくら~…中から声聞こえて~…あんな約束しちゃって大丈夫~?」

美優は心配そうにわたしの元へ駆け寄った。
凜はロッカーを開けながら、やっぱり何度もため息をつく。

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