【完】さつきあめ
「みやざわさ…」

名前を言い終える前に、まるで叩きつけるように、朝日の腕がわたしの体をベッドへ叩きつけるように押し付けられた。
固いベッドに叩きつけられて、何が起こっているのか頭の中で整理出来ないまま、朝日はそのままわたしの体へ馬乗りになる。
リビングの隙間から入る光りで、朝日の顔が照らされた。
出会った頃のように、何を考えているのかわからない微笑みを浮かべていた。

「なんですか…?」

「もう待たない。馬鹿らしい。
結局光の物だ。なら無理やり奪い取る」

冷たく言い放った言葉に、全身に鳥肌が立つ。
冗談でもない。優しさの少しもない。その証拠に、朝日は部屋の隅に落ちてたネクタイを拾い上げ、わたしの両手を固定して、それをベッドの柱に縛り上げた。

目の前にいるのは、わたしの知ってる朝日ではない。
出会ったばかりの頃の、憎んでいた朝日そのものだった。

「やめてください…ほんとに…やめて…」

「半分血が繋がってるんだ、光も俺も同じようなもんだろ?
ただ光としてる事を俺ともするだけ…それだけだ…」

「やだ…宮沢さんは…そんな人じゃない…」

「うるせぇ!!」

静寂の部屋の中、朝日の怒鳴り声だけが響く。
それを合図に、朝日は乱暴にわたしの着ている服を破っていって
どんなに抵抗しようと、朝日の腕の力は一向に弱まる気配はない。

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