何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
そんな会話をしたあと、悠のお母さんは病室へと入っていった。それに続いて、奏くんも中に入ろうとした。

が、入室する前に奏くんは私の方へ振り返り、小声でこう言った。


「ーー頑張ってね」


そして私の返事をまたず、お母さんの後を追いかけるように病室へと入る奏くん。

ーーなんだか今日は嬉しいことだらけだ。悠には記憶をなくしてから初めて受け入れられた気がするし、悠の家族も、私を応援してくれている。

頑張ろう。悠と過ごしたあの日々を取り戻すために。私は悠の病室の前で、1人固く決意したのだった。
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