純真~こじらせ初恋の攻略法~
実はこんな話になったのには理由かある。

それはかれこれ一週間くらい前のことになるのだが。

その日は藤瀬くんの仕事の納期前日で、確実に0時コースだろうと覚悟を決めていた日だった。

藤瀬くんのスマホのバイブが、何度目かの着信を知らせる。

いつもなら人の着信を気にすることなんてないのだが、今日に限っては明日納期の仕事のこともあり、ずっと気になっていた。

「電話、取らなくていいの?」

そう聞いても、藤瀬くんは「大丈夫」としか答えない。

「でも、仕事のことかもしれないじゃない」

「仕事じゃないから」

藤瀬くんはPCから目を逸らさずにそう言ってマウスを鳴らすけれど、反対に私はキーを打つ手がピタリと止まってしまった。

バイブがピタリと止まると、私の思考は嫌なほうへ向かい始める。

仕事じゃないということは、プライベートということ。

その電話をこの場で取らないのは、単に仕事に集中したいためなのか。

それともここでは取れない、取りたくない相手なのか。

そんな勘繰りをしてしまった。

数十分後、再び響いたバイブ音に苛つきを覚えた私は、小さく溜め息を漏らした。

「もういい加減に電話取ってくれない?」

「いや、本当に大丈夫だって」

「藤瀬くんは大丈夫かもしれないけど、私は気になるの。そう何度もなってちゃ、全然集中できない」

まるで以前の私に戻ったように冷く言い放つと、さすがの藤瀬くんもたじろいだようで、渋々スマホを手に取った。

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