純真~こじらせ初恋の攻略法~
episode 6

実った初恋

同窓会会場の居酒屋の前。

私と藤瀬くんは二人並んで立っていた。

大きな誤解があって裂かれてしまった私達の関係。

長い年月をかけて、今やっと二人のわだかまりが奇麗に浄化されたのだ。

本当ならば今すぐ二人きりで語り合いたいことが山ほどある。

それに私達はまだ、お互いに誤解を生じさせた人物の名前を口に出していない。

きっとそれは、言わずと知れた人物なのだろうが。

その人物がこの中にいるかもしれないと想像しただけで、私の心にどす黒い感情が生まれてくるのがわかる。

それは藤瀬くんも同じ気持ちなのかもしれない。

「なんだか、無駄にドキドキするんだけど」

「それは俺のセリフだよ」

駅で誤解が解けてから2人きりになりたかった私達は、何度も同窓会出席をどうするか話したけれど、やはり一度は顔を出そうということになった。

「茉莉香、飲み過ぎんなよ?」

「大丈夫。ちゃんとわかってるから」

この後、落ち着いて二人で話したい。

一度タイミングを逃してしまった私達だからこそ、今回はちゃんと最後まで話したいと思ったのだ。

そのためにも深酒は避けなければならない。

「ここでこうしていたって意味がない。行こう」

藤瀬くんに促されて、私達は並んで店内に入った。
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