純真~こじらせ初恋の攻略法~
いざ転職となると難しいが、自分のためにも会社にとっても望み望まれるものでなくてはならない。

検索サイトで自分の条件を入力して絞り込むと。

「うそでしょ……」

ヒットする会社の数の少なさに呆然とした。

自分の条件がどれだけ厳しいものなのかを痛感してしまう。

今まで自分がどれだけいい待遇で働いていたのかを実感し、深い溜め息がでた。

「条件、いくつか減らすかぁ」

そうだ、条件なんか重要ではない。

望むのは環境の改善。

これ一点だけだ。

給料は今とあまり大きく変わらなければやっていけるし、交通費支給であれば少しくらい離れていても問題ない。

大手に拘っている訳でもないし、逆にこじんまりしていた方がパワハラとかなさそうだし……。

妥協できるポイントのチェックを外して再度検索をかけると、今度は多くヒットしてくれた。

スクロールしながら真剣に吟味していると。

「これ……」

ピタリと手が止まり、私はしばらくその会社のページを眺めていた。

社員数13人と小規模だが、事務所は写真から見ても綺麗で開放感があり雰囲気がいい。

掲載されている今までに手がけた仕事の一例を見つめ、私は何とも言えない高揚感を覚えた。

自由で形に嵌らない、斬新かつ暖かい庭や外観がある。

中でも一番目についたのは、グリーンとホワイトを基調とした可愛らしい一軒家の庭だった。

中学の頃、この仕事を目指すきっかけをくれたあの庭に何となく似ている。

「ここがいい。ここに決めたっ」

私は大した条件も確認せずに、あっという間に面接の手続きをしてしまった。
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