絶対領域
「さあ~、襲撃だーい!!」
ブオオオン、ブオオオン!!
ゆーちゃんのバイクが、盛大に息巻く。
水を吸いすぎてびしょびしょの土の上に、バイクのタイヤの跡をつけていく。
グラウンドに踏み入れてようやく、わいわい騒いでいたガラの悪い連中が、こちらの存在に気がついた。
「なんだ?」
「どこのどいつだ?」
唖然とする連中の周りを、3台のバイクが回る。
ぐるぐる円を描きながら、連中への牽制と、あず兄の所在の確認をする。
「アズ、いたぁ?」
「うーん……」
ヘルメットで視界が狭まり、よく見えない。
あと、ガラの悪い連中が邪魔!
あず兄、どこにいるの?
ここにはいないの?
「……あ、」
待って。
今、一瞬。
あず兄の姿が。
「っ、いた!」
ガラの悪い連中が壁になって、はっきり捉えられなかったけど。
連中の隙間から、チラッと見えた。
気を失って、地面に横たわっているあず兄が。
「どこどこぉ!?」
「あいつらの中心で倒れてる!」
「あっ、本当だ~!」
ボロボロな制服、びしょ濡れの金髪、顔に残る血痕。
遠目からでもわかるくらい、あず兄の顔や体は傷だらけだった。
「よくも僕らの総長をやってくれたねぇ」
「お返しはきっちりしてあげないと、ね」
「そうだね~。何倍返しにしようかなぁ」