絶対領域




ベッドの上の彼は、再び夢の世界。

気持ちよさそうに、けれど切なそうに、寝息を立てている。


私の左手と繋がったまま。




『ここで争いが起こったのも、倒れてる奴も、血を流してる奴も、全部全部お前のせいだ!』



ズキン、ズキン。

消え失せたはずの痛みが、どこに潜んでいたのか、またしても私を苦しめる。




『君も、全部知ってる。俺のことも、彼のことも、3日前の出来事も全部』



もしも、本当に。

全てを知っているのなら。


教えてよ、私。



急に力が抜けて、かくん、と膝が折れた。


ベッドに置いた腕に、顔を埋める。




『この街には、天使と悪魔がいる』



滴り落ちないように堪えていた雫が、とうとう頬を伝って、こぼれた。



痛い。

頭も、心も。


鉄の塊で殴られたような激痛に、目を固く瞑る。



それでも、黒髪の男の子の手を握り続けた。



< 32 / 627 >

この作品をシェア

pagetop