絶対領域



私もちょっと気になるかも。

どっちが強いか、予想つかない。




「違うよぉ!僕たち神亀だよー!!」


「そうだそうだ!俺たちが負けるはずねぇ!」


「ノンノン。我ら双雷の特徴をお忘れかな?」


「こ、攻撃特化、ですよ双雷は」


「それを言うなら、俺たち神亀は防御が得意だから、全部防いじゃうかもね」


「守ってばかりじゃ勝てねぇぞ」


「どちらかと言えば防御がうまいというだけで、攻撃しないとは言っていない」


「俺らだって……!攻撃は最大の防御って言うし!」


「ははっ!こりゃ決着つけんの大変そうだな!」


「たぶん何日あっても足りないよ!」




双雷が強い、神亀が強い。


闘争心をメラメラ燃やして、言い争っているのに、なんでかな。



緊迫した雰囲気は微塵も感じない。


むしろとても生き生きしていて、楽しそう。



裏の世界の住人でも、傷つくばかりじゃない。

こうやって陽気にわいわい賑わえる。


仕合わせをわかち合える。




「いつか、遠い未来で、敵対関係に答えを出せたら」



みーくんは一度、瞼を伏せた。


すぐにそっと開かれていく双眼には、一等星がキラリ瞬いていた。



「その時はまた、皆で集まって花火をしようよ」



いつになるのか、果たせるのか。

誰にもわからない、未知なる約束。


でも、誰一人として拒まずに、前向きに賛成していた。




悲劇のラストシーンで最後になった、西側の倉庫で。


また夜空の下に、大輪の花を咲かせよう。



記憶に刻まれた悲しみを、愛おしさで染めていくように。







『運命でも奇跡でも、偶然でもなんでもいいよ』

『またこうやって皆と花火ができたら、俺はそれで幸せだよ!』


――私も、きっと、幸せ。





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