OLが男子高校生を拾った話
時刻は夜11時をまわっていた。


「ねぇ、帰らなくていいの?」

「・・・」

帰る場所なんて、俺にはない。

「名前は?」

「……高坂 紫苑」

「年齢は?」

「18」

「ってことは、高校生?」

「うん」

「親御さんも心配してるだろうし、帰ったほうがいいんじゃない?」

首を横に振ると、彼女は困ったように俺をみた。

「いや、帰りたくなくてもさすがに泊めることはできないよ」

「・・・」

そう、だよな……

「わ、わかった。今日だけだからね!? その代わり床で寝てよ?」

本当に!?

「……ありがとう、ございます」

半分驚きながらお礼を口にした。

……彼女がやさしい人でよかった。
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