OLが男子高校生を拾った話
***


11時少し前に最寄駅に着いた。

彼はすでに到着しているらしい。

急いで向かうと、席には彼の他にもう一人、見慣れない女性が座っていた。


「紫苑」

「あ、晴日!」

「…こんにちは」

「こ、こんにちは…」

誰?
紫苑にはお姉さんなんていないし……彼女は一体!?

「とりあえず座って。晴日は何頼む?」

「え、えっと…」

はやく説明してほしい。

でもおそらく、彼なりに“段階”というものがあるんだろう。

俺が焦っていたって意味がない。
彼の口から話されるまで待つしかないんだ。


「これ美味しい! 侑李ちゃんも食べる?」

「え、」

「ほら、あーん」

俺は何を見せられているんだ!?
なんのためにここに呼ばれた!?

「紫苑」

「ん? 晴日も食べたいの? もしかして、侑李ちゃんに嫉妬しちゃった? もう、可愛い奴め!」

そういうキャラじゃないだろ、お前……

隠したいことがある時、焦っている時、
コイツはキャラが崩壊する。

つまり、わかりやすい。

今だって……早く話せばいいのに。
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