正義の味方に愛された魔女 5
3 幼馴染みの翔ちゃん

幼馴染みの秘密

パパと一緒に会社を作ったお友達に、白石さんっていう人がいるのですが、
その人の息子さんの翔也くんと沙羅は小さい時からよく遊んでいました。
幼なじみって言うやつですよね。
高校生くらいになると恋愛小説のネタになるやつです。
でもね、沙羅達にはそう言うのは無いかもです。
沙羅は翔ちゃんのことす…す…すきだけど。
いやあの、でもね、そのね、翔ちゃんは市立小学校の二年生でね、小学生のお姉さん達には綺麗な人や可愛い人が沢山いるのです。
わかり易く、しどろもどろになっちゃいます。

きっと翔ちゃんにとって沙羅はいつまで経っても年下の幼なじみで……
うわぁ…柄にも無くウジウジしちゃいました。
とにかく!
白石翔也くんは、沙羅の大切な幼なじみなのです。

沙羅の家系の、この力のことは家族ぐるみでよく知られていて
その翔也くんにも、親しい人しか知らない秘密があります。
沙羅んちとはまた違った秘密なのです。

翔也くんは生まれた時から今までのことを、全部覚えているんです。
嫌な事もいい事も、これからもずっとおじいちゃんになるまで全部忘れることが出来ないらしいのです。
『ハイパーサイメシア』っていうそうです。
よく、サヴァン症候群って言うのと間違われるみたいだけど、沙羅にはどっちも難しいお話に聞こえます。
「お勉強の試験とか、いつも満点とれちゃう」と思われるかもしれませんが、そうはいかないみたい。
本人が見たり聞いたり体験した内容は、ほとんど細部に渡って覚えているけれど、暗記など勉強で覚える内容は普通の人と変わらず努力が必要らしいです。
世界中に何十人も居ない症例で、分からない事が多いそうです。

そんな翔ちゃんは、沙羅と一緒にいた時の事も、細かい事まで何でも覚えているのです。
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