正義の味方に愛された魔女 5

働かざるもの…

しばらくして百合さんと龍ジジが
「ねぇ、そこの少年少女達~、川へお魚釣りに行こうよ!」と誘ってくれました。

一応、食材は現地調達しなくていい程度の用意はしてくれてる様でしたが、百合さん曰く
「川があるなら魚釣りしたいよね、楽しい経験はたくさんしたいよね」
だそうです。

釣果のほどは……?
龍ジジと百合さんは2人で大小合わせて5尾。
子供組は4人合わせても小さいの3尾しか釣れませんでした。
沙羅だけ……ハゲ、じゃなくてなんだっけ、あの…お坊さん、そうそう坊主!でした。

「沙羅~そんなにガッカリするなって!6人で合計8尾なんてすごいよ、ね、荒川さん」
「…だな、そのうち初心者、それも子供が4人なら大したもんだ」

「ふぇ~ん……翔ちゃんも龍ジジも優しいよね、ありがと。でももうちょっとおっきくなったら今より上手になるかも!」

翔ちゃんは沙羅がヘコむとよく心で慰めてくれるのです。こんな風に…
《また来年も再来年も、一緒にキャンプして釣りに付き合ってやるから》

もうね、だから翔ちゃん大好きなんです!
(๑σωσ๑)♡



沙羅が一人でムフフな気持ちでお片付けをしているとトントンと肩を叩かれました。
「ねぇ沙羅ちゃん、ちょっとコレ運んで行ってくれない?釣れなかったんだらそのくらい働いて埋め合わせしなきゃ。
『働かざる者食うべからず』って言うの知ってる?」

加奈さんが自分の荷物を差し出して来ました。
《白石くんとイヤに馴れ馴れしく話してたけど、調子に乗っていられるのはここまでよ!
さっさとコレ持たせちゃおっと♪
頑張って河原の石をたくさん詰めたから重くて重くて(笑)》

ひゃー…ナニ?沙羅は虐められる予定なの?
ごめん、そういうのはお断りなの。

「釣れなかったけど、キャンプのお手伝いは戻ったらちゃんとやろうと思ってるよ?
それに自分の事は自分でしましょうって言うでしょ。
だから加奈さんもそうしよう?」

「えっ?なんかムカつくんだけど!
いいから持ちなって、ハイ!」

目の前に飛んできたバッグをついつい『ナイスキャッチ!』してしまうのが人間です。
でも沙羅は魔女っ子なので(笑)受け取りたくないと思ってしまったのでした。

加奈さんが放り投げたバッグは、沙羅の足元に『ゴトッ』ていう硬い音を立てて転がりました。落ちた拍子に中からたくさん石が溢れ出ています。
あー、こんなの受け止めてたら怪我したかも。






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