不機嫌ですが、クールな部長に溺愛されています
颯爽と廊下を歩きながら、社長が詳しい情報を返してきたので、私は目をしばたたかせて彼を見上げる。

スイーツが好きだというのは、手土産を用意するときに好みを聞いたから知っていたけれど、手芸が得意だとは初耳だ。


「どうしてご存知なんですか?」

「社員の噂を耳にしました。加々美さんが雑談しているのを聞いた人がいるのだとか。彼はAkaruさんに『振り回されている』ともおっしゃっていて、プライベートのことまでよく知っているんだそうですよ」

「そう、なんですか」


その話を聞いた途端、また胸にチクリとした痛みを感じた。

もしAkaruが女性だったら、耀がプライベートのことをよく知っているというのは少し意味深だ。仕事での関わりも多いだろうし、ただ仲がいいだけかもしれないけれど、ふたりの関係を深読みしてしまう。

黙って考え込んでいると、社長が含みのある表情で私を見下ろして問いかける。


「気になりますか? 彼のことが」

「えっ!?」


図星を差され、ついすっとんきょうな声を上げた私は、目を泳がせてもごもごと口ごもる。
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