未然見合い
「は?」
「だから、ずっとお前のことが好きなんだって」
「だから、ハァ?」
「何度も言わせるなよ。だから、俺はお前のことが――」
ふ ざ け ん な よ ク ソ が !
「何言ってんのアンタ!女とっかえひっかえしてた男がそんな台詞吐いていいと思ってんのか!相変わらず最低な野郎だな!!」
「おい、お前言葉遣い悪……」
「ふざけんのもいい加減にしろ!クソが!」
「クソって…!つーか聞けよ!」
「嫌ッ!離して、つうか離せ!」
ばたばたと手足を暴れさせて翔太からの逃亡をはかる。
けれど男の力には敵わなくて。簡単には解放してくれそうにもない。
「ふざけんな、本当…!あたしがどんな思いで、」
「……好美」
「嫌だ、嫌だ嫌だ!翔太には他の女が居るじゃん、あたしじゃなくて良いんだってば」
「…、……」
「いいから、離し――」
言い掛けた言葉は、全てを紡ぎきることが叶わなくて。
唇に感じる熱に目を見張ると、あたしが動揺した瞬間を狙って舌先が侵入してくる。