Sarcasm
一分もしないうちに、閉じた扉は再び開いた。

相変わらず銃を持ったウラヌスだが、彼の左右に男性と女性が立っている。

男性は猫目をしていて髪はくせ毛で、一見すればどこにでもいる青年だ。女性も背は低めだが、にこやかな笑みを浮かべ、誰が見ても犯罪組織のメンバーとは思わないだろう。

「マーズです。一度に何人も殺せます。善人こそが悪。悪を駆除します」

歪んだ笑顔を浮かべながら、男性は自己紹介をした。来ている服のポケットからナイフを取り出し、空中で一回転させる。

「マーキュリーです!よろしくお願いしま〜す!」

笑顔のまま、女性も自己紹介をした。

「新たな仲間が増え、我らの同志が増えた暁に乾杯をしよう」

ジュピターがそう言うと、ヴィーナスがグラスを二つ手に取る。自分とジュピターの分だ。

その二つのグラスに、血のように赤いワインが注がれていく。

「乾杯!!」

ジュピターとヴィーナスがグラスを合わす。

チン、という音が小さく響いて消えた。
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