恋の神様に受験合格祈願をしたら?
 私たち、もしかしたらこのまま生徒会の手伝いの終了を言い渡されちゃうのかな?
 そしたら、もう生徒会のみなさんと接点がなくなってしまう。
 生徒会のみなさんはもちろんだけど、菅野さんと話せる機会も、人目を気にするならないのと同じ。
「俺もニコちゃんと一緒に活動出来て楽しいよ。これは俺の我が儘だけど、ニコちゃんにはこれからも生徒会に来てほしいです」
 少し人見知りするように改まった菅野さんが、私の両手を握ると弱々しく頭をさげた。
 その言葉に、私は心からホッとした。
 菅野さんに悲しい思いをさせたのはつらいけど、一緒に活動する道を選んでくれたことが何より嬉しい。
 嬉しくて、涙がにじんできた。
「はいっ!」
 私は笑顔で返事をした。
 次の瞬間、
「谷地さんたち、順番なんだけど」
 体育会委員の子に恐る恐る声をかけられて、今が生徒会の活動中でなくてスポーツテスト中なのに気づいた。
「ゴメン、すぐ行く」
 リカちゃんが素早く謝ると、
「会長、お話は放課後。生徒会室で。副会長、ニコは貰っていきます」
 ハルちゃんが私の腕に自分の腕を絡ませると、私を引っ張った。
 力を抜いた菅野さんの手から、私の手がスッと抜けた。
 それを寂しく思いながら、菅野さんのぬくもりが消えていく手を見つめた。
「昼休み!」
 菅野さんが叫んだ。
「昼休み、教室まで迎えにいくから、一緒に食べよう」
 菅野さんの提案に、放課後まで待たなくてもまた会えるんだと思った私は、なぜだか笑いだしたくなるほど嬉しくなった。
 だから、「はいっ」と飛びきりの返事をした。
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