恋の神様に受験合格祈願をしたら?
 恐る恐る振り返ると、4人の先輩が笑いながら近づいてくる。
 けど、すれ違う前の軽やかな楽しさみたいなものは感じない。
 4人の威圧感に、私は後退りした。
 4人が広がる。
 囲まれる。
 そう思った瞬間、私は走った。
「ちょっと待て!」
「下級生のくせにその態度はないでしょ。止まれよブス!」
「話終わってないだろっ」
「生意気すぎ。ホントにムカつく」
 4人の声と一緒に、バタバタと複数の足音が私についてくる。
 振り向いたら捕まる。
 終われる緊張に体中が冷たくなっていく。
 足が遅くて運動が苦手な私は、遠くまで逃げられない。
 下の階に行けば、予算会が中断しているから誰かいるはず。
 けど、そこまで走りきる自信はない。
「清水もだけど、生徒会の女子ってマジ腹立つ!」
「全員タカピシャ。モテると思い込んでるクズ。ホントにブスなのコイツらじゃん。菅野、見る目なさすぎ」
「コイツら全員、死ねばいいのに」
「キャハハハァッ! ホント、ウザすぎ」
 4人の声に、憤りと暗い楽しさが混ざった。
 私の心臓がキュッと縮んだ。
 血の気が引いていく。
 捕まる恐怖で足がガチガチになって、動きを鈍くする。
 どうしよう。
 絶体絶命!
 捕まる覚悟をした瞬間、トイレの標示が目に飛び込んだ。
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