恋の神様に受験合格祈願をしたら?
「キスしていい?」
 菅野さんの綺麗な顔が、自信なさそうに近づいてきた。
 菅野さんの額が、私の額にそっとあたった。
 ここまで近いと、表情はわからない。
 気持ちがフワフワしてきた。
 夢なら、一生覚めないでほしい。
 私は額を少しこすりあわせるようにして頷くと、瞳をギュッと閉じた。
 私の額から、菅野さんの額が離れた。
 その瞬間、髪が額をくすぐり、心までくすぐられた気がした。
 トキメキが強くなる。
 唇に温かな風を感じた。
「一生護るから」
 菅野さんの言葉が、私の耳をくすぐり、全身を撫で、心臓を震わせる。
 温かいものが唇に触れた。
 それは、そっと唇に押しあてられた。
 胸が焼けると思った。
 あたたかいのか熱いのかわかんないそれに、体が緊張のあまり萎縮しすぎてカチコチになった。
 柔らかいそれが、私の唇に触れたまま少し動いて離れた。
 瞬間、固まっていたはずの私の体は、そのくすぐったさに一瞬で力を失った。
 倒れる私を、力強い何かと温もりが抱きとめた。
 目を開ければ、私は大きな胸にしっかりと抱きしめられていた。
 見上げれば、菅野さんの微笑む顔が近づいてきて……。
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