恋の神様に受験合格祈願をしたら?

【side:菅野大志】

 キスが止められない。
 美味しすぎて、柔らかすぎて、熱いけど温かい。
 腕の中の不思議な食べ物は、震えながらもおずおずと自分を差しだしてきた。
 ただ、愛おしい。
 そんな生き物が、世の中に存在するとは思わなかった。
 小さくて柔らかい生き物は、キスを繰り返すうちに、小さく「あっ」や「ん」と甘い啼き声を漏らし、俺の食欲をあおり続けた。
 しかも、抱きしめて気づいたんだけど、この生き物、ブラジャーをしていない。
 素肌に俺の体操着って、恋する男として興奮しないほうがおかしいだろう。
 体中が熱で疼く中、ひと際目頭が熱くなる。
 感動しすぎて胸が痛い俺の腕の中で、可愛い生き物のニコが動いた。
 もう、『ニコちゃん』じゃなくて『ニコ』でいいよな。
 だって、俺のモノなんだから。
 その代わり、俺は死ぬまでニコのモノだ。
 それだけは一生変わらない。
 あれ、可愛いニコの顔が歪んで見える。
 なんでだ?
「菅野さん、涙」
 ニコが心配そうに、俺の顔へと両手を伸ばしてきた。
 そして、俺の頬を優しく指で拭いだす。
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