恋の神様に受験合格祈願をしたら?
番外編2 覚悟と助け

【Side:菅野大志】

 これはニコと両思いになる前。
 スポーツテスト前日の話。

 もうすぐ5時間目が始まろうとしている昼休み。
 高校3年に無事進級した俺は、廊下からグラウンドを見つめていた。
 正確には、グラウンドに立つ体操着姿のニコちゃんを見つめていた。
 寒そうに自身を抱えながら、谷地ちゃんと見崎ちゃんに笑顔で何か話している。
 いいなあ。
 俺も加わりたいなあ。
 そしたら、あの笑顔は俺に向けられるんだよなあ。
 できれば、あの笑顔を独り占めしたいけど、それはまだ早いよな。
 告白より先に、まずは好かれること。
 『恩人さん』とニコちゃんに呼ばれるくらいだから、まあまあ好かれてるとは思う。
 けど、『恩人さん』のままでは足りない。
 告白しても絶対振られない。
 そこまで好きになってもらえなきゃ、次の1歩が踏み出せない。
 初めての恋。
 まさか、恋がこんなに楽しくて、嬉しくて、怖くて、歯がゆいものだとは思わなかった。
 どおりで、仁美ちゃんもリューイチも小学生のときからずっと二の足を踏んでるわけだ。
 『いい加減、両思いになれ』よと思ってたけど、これからは『早く両思いに慣れたらいいね』くらいの気持ちで2人の恋路を見守るよ。
 互いに片思い。
 つまりは両片思い。
 羨ましい。
 ああ、羨ましすぎる。
 俺も、ニコちゃんとそうなりたい。
 そうなれれば、すぐに告白するのに。
 そして、ニコちゃんを俺のものにするのに……。
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