クールなアイドルの熱烈アプローチ
「越名勇人と随分打ち解けていたようだが……」

「え?あ、越名さんとは先日、プライベートの時に偶然お会いして少しお話しする機会がありまして……。
朝陽も一緒だったんですけど、あの子、誰にでも馴れ馴れしい口を利いちゃうからフォローしてるうちにいつの間にか自然に話せるようになったみたいです」

眉を下げて笑った陽菜は、堀原と朝陽が初めて会った時のことを思い出していた。

二人が最初に会った時、朝陽はやっぱり喧嘩腰で。
けれど最後には堀原が大分年上なのにも関わらず、フレンドリーに接し始めた朝陽に堀原が若干戸惑い、朝陽の隣に座っていた陽菜が必死に朝陽を窘めて堀原にフォローを入れていた。

そんな経緯があり、陽菜は堀原に一早く慣れて嘘つきやら鬼やらと文句さえも言えるようにもなったのだが……。

朝陽は陽菜に近付いてくる男の見極め役であると同時に潤滑剤のような役割でもあるのだけれど、そんなことに気付いていない陽菜は毎回朝陽の他人に対する言動に戸惑っている。

そんな陽菜を見て堀原は納得したように頷くと、一番気になっていたことを聞くべく真っ直ぐ陽菜を見た。

「なら、お前に越名勇人への好意はないと?」

「へ?好意?私が越名さんに?」

堀原からの問いかけにキョトンとした陽菜は、問われた意味を理解するとそのまま固まった。
その数秒後、陽菜はボンッと顔から火が出るんじゃないかと思うほど真っ赤になると両手を大きく振った。
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