BRST!



「だって稜さぁ、今日が何の日か知ってるでしょー?」

「……、まあ。」



ボソリと呟きを洩らしつつ顔を背ける私。


僅かに赤みの迸る頬の裏には、昴くんを連想させる里麻の発言があったからで。



唇を尖らせて視線をも逸らす私を見つつ、里麻がクスリと笑みを零したのが気配で分かった。





「何を隠そう、今日はバレンダインデーなのであーるぅ!」

「……、」

「だから!だからね!?」



そこでガサゴソ、と。


自分のスクールバッグに隻手を突っ込んだ里麻は、勢いもそのままで例のモノを取り出す。



「今日が響さんを落とせる日になるかもしれないんだから、気合いを入れて早めに来るのなんて朝めし前な訳よぉ!」

「……里麻。」

「なに!」



燃え盛るような闘志をその瞳にチラつかせる彼女を見ていると、ちゃんと朝ご飯を食べてきたのか気になってくる。


いや、そういう意味合いで言ったんじゃないことは勿論理解しているのだけれど。


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