BRST!


そういえば。ゆきを拉致した族の人たちも虚ろな目をしていたような…。そうなると他人事じゃないかもしれない。位置的にも遠くはないわけだし。


「こわいよねぇ。」

「里麻、帰りとか大丈夫ですか?」


なにより里麻には前例があるから心配だ。騒動が落ち着くまでは、昴くんにお願いして一緒に帰ったほうがいいかもしれない。


「それなら、彼氏にお迎え頼んでるから平気だよぉ~。」


パァ、と花が咲くように表情を綻ばせた里麻。可愛いなあ。すごく幸せそう。


「よかったです。どんな人なんですか?」

「わ、聞いてくれる?稜見て見てぇ。」


そのあと延々と繰り広げられる惚気トークに若干打ちのめされながらも、私たちは変わりない穏やかな時間を過ごしたのだった。



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