◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
 本社ビルに入ると、シンプルかつ先鋭的なデザインの受付カウンターが正面少し右にあり、「いらっしゃいませ」と二人の受付嬢がきれいに揃って一礼し迎えてくれた。

「わ、わー……!」

 天井はすこーんと吹抜けとなっていて、ガラスか何かでできた未来的な階段がのびている。丸井社長が受付のお姉さんに事情を説明すると、「お迎えに上がれず申し訳ありませんでした」と丁寧に謝罪され、エレベーターに案内された。愛里と社長は、ぺこりと頭を下げてそのまま静かに運ばれる。

無言の時は過ぎ、いよいよ、尚貴がおそらく待っている本社二十八階に到着。

(緊張してきた……)
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