◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

 言われるがまま愛里は風呂を済ませると、荷物も紐解かないまま、布団に入った。電気も消して、布団の中でスマートフォンのアラームを午前七時に設定する。

 目を閉じた。
 明日からまた仕事だ。

 脳裏に尚貴の顔が浮かんでは消え、思わずスマートフォンの画面を点けては消し、消してはまた点ける。

 連絡はなかった。
 こちらから連絡をするわけにもいかない。
 そんな勇気はない。

 あったらあの時、郡山に対してもう少し抵抗していた。それが出来なかったのは、自分に自信がなかったからだ。
< 92 / 295 >

この作品をシェア

pagetop