チョコレートじゃ想いは届かない



ようやく仕事が終わった時には、退社の時刻を一時間過ぎていた。

隣を見れば、どうやら坂本君も今終わったらしく身支度を始める。

何も言わないけど、なんとなく一緒に帰る流れになった。帰る方向は途中まで一緒だ。


会社を出て、駅までは15分くらい歩く。


「寒っ」


「うん、昨日は暖かかったのにね。」


話す内容に対した意味はない。
それも時間があって一緒に帰るときはいつもの事だ。


そして不思議なことに私は彼と話すとき、いつも滅茶苦茶で意味不明なことばかり言っている。自分で話していて何を言っているのかわからないし、つまらない。




< 9 / 12 >

この作品をシェア

pagetop