恋愛イデアル。
『ドゥイノ悲歌』
『海の波音を聴くのはいやだ。積み上げては崩れ落ちる浜辺の砂の城を見るから』

イデアルと長月遥は話し合っている。

「詩人ね」
「ドイツだな」両者が話し合う。

教室で。

「そういえば、ドイツには『ドゥイノ悲歌』というのもあるんですよ」と長月遥。

「懐かしい響きだな」
「我々に必要なのは哲学など精神文化ですから」と長月遥。

そういえば、とイデアルは思い出した。

高校の倫理の教科書を読んでいたときのことだ。
それをどう感じていたのだろう?
プレ成人期といったアイデアやフランクフルト学派にも一定の利点があると認めたのではなかったのか?

それとも自分とは自分のアイデアを積み上げては崩れ落ちる砂の城だったのか。

イデアルは無言で立ち尽くした。

「どうされましたか?」と長月遥。
イデアルは我に帰った。

閑話休題・・・
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