ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
どんなに家庭環境に問題があろうが、テストを受けなきゃ学生は進級できない。


受けたからって進級できるわけでもないけど、とにかくこの世はシビアだ。


「家にいづらいならいつでもうちに避難して。なんなら泊まっていきなよ。瑞樹なら大歓迎」


黄色に白のラインが入った部屋着ジャージ姿の海莉が、机に頬杖ついて笑顔を見せた。


その机の上には、海莉の大好きな関先輩の写真が何枚も飾られている。海莉の大切な宝物だ。


「ところでねぇ、見て見て! また関先輩コレクションが増えたの!」


「ああ、うん。気づいてた」


あたしが寝そべっているベツドの枕元にも、可愛いフォトフレームの中に収められた関先輩の写真が置かれている。


写真の先輩は教室の中で、友だち数人と肩を組みながら大きな口を開けて、楽しそうに笑っていた。


本当に、写真からでも人柄がにじみ出るようないい笑顔だ。
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