君の言葉は私を刺す
適当に話を流すと、早輝より一足先に荷物を部室に取りに行った。




プールサイドからは校庭がよく見える。




たまにひとりになりたい時、鍵が閉まってても、フェンスを乗り越えてここに来る。




そして見えたんだ。




あいつと早輝が2人で帰っていく姿を。




最初はなんとも思わなかった。




でも、ふと、あいつの姿を思い出すと、胸がザワつくのが分かった。




イライラして、訳もなくムカついて。




俺の前ではあんなに泣きそうな顔なのに、早輝の前では思いっきり笑っている。




それが、俺は嫌なのか。




分からない。




でも、無意識にフェンスを思いっきり強く握っていた。



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