クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!

『何も問題はありません』

「でも……」
上手く伝えられないけど
何か違うでしょう。

『住所を教えていただけますか?』

「はい?」

『時間がありません。早く教えて下さい』
強い口調で聞かれて、まだ頭が回らない私は素直に教えてしまった。

『ありがとうございます。金曜日を楽しみにしてます』
そしてプツンと切れてしまった。

あんな優しい顔なのに
思いっきり強引じゃない?
いやちょっと待ってよ私、ほぼ知らない人に住所教えちゃった。

一気に力が抜けてスマホを見てたら、また携帯が震えた。つい表示を見ないで電話に出ると

『早いじゃん。俺の電話を待ってた?』
からかうような声が耳に届く。

これは
あの上から目線の俺様内科医か?

「待ってません。もうお会いすることもありません。さようなら」
すぐ切ろうとしたら『忘れ物預かってんだけど』って背筋が凍る。

< 21 / 81 >

この作品をシェア

pagetop