玻璃の向こう
第四章/ふたりの向こう


東の空が曖々と白んで、新しい一日の訪れを告げる。
透明な光の束が、カーテンをくぐり抜けてたっぷりと差しこんでくる。

その光にまぶたをくすぐられるように、一花は目を開けた。
遮光カーテンよりも光を通すカーテンがいいね、とふたりの意見は一致していた。

一日を、時間の流れを、季節の移ろいを、五感で感じたいから。

まぶたをこすると、圭介の腕をすり抜けてベッドからすべり出ようとする。

彼を起こさないように・・・という一花の思いもむなしく、ぎゅっと腕が回されベッドに引き戻されてしまう。

「もう、圭介さん」
身をよじってみるけど、逆にいっそうしっかり抱き寄せられる。

「休日だし、もう少しこうしていたい」

まるで駄々をこねてる子どもみたいだ。そんな彼の姿も愛おしい。
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