ユニフォームで豹変する彼
野田工業高校バレーボール部
体育館練習中

「ナイス!修平」

「よっしゃー、もってこい」

修平はスパイクを決める

八塚修平(やつづかしゅうへい)

野田工業のエースアタッカー二年生で春高を目指す秋
県では野田工は強豪校であり、修平は背番号1をつけている

練習が終わり
部室で着替え中に部員の拓海が話かけてきた


「修平、俺さ、朝雨だったから今日電車なんだ、一緒に帰ろうぜ、ついでに前見たいって言ってたDVD貸すよ、うちに寄っていけよ」


「本当?わかった寄る……ちょっと待って」

拓海はもう帰る準備万端、修平は着替えが遅いのだ、いつもモタモタしている


(何でこいつは着替えがいつも遅いんだろう……ボタンが苦手なのかな?)

疑問を覚えつつ修平を待つ

「ごめん、お待たせ」

「ん、帰ろうぜ」

二人は電車に乗り拓海の駅で降りる



「あれっ拓海、一緒の電車だったんだね」

「おー木下に永井、久しぶり」

拓海の中学時代の友達、バレー部員同士だった
木下優佳(きのしたゆうか)はショートカットで目がくりっとした女子で、すらっとした細身の子

もう一人は永井梓(ながいあずさ)ポニーテールをしている

「拓海はチャリ通でしょ、珍しいね」

梓が話かける

「今日朝、雨降ってただろ、だから電車にしたんだ。木下も元気だった?」

「うん」


修平はぼーっと三人の会話を聞いていた、いや耳に入ってなかったというべきか、修平の目線は優佳に向けられていて、じーっと見ていた


(朝、隣の車両に乗る子だ。かわいいな、そっか拓海と同じ駅だから同中の可能性もあったのか)



修平は拓海の後ろにまわって制服をひっぱる

「おっと、何?」

修平は小声で拓海に話す


「……俺の好きな人」

修平は真っ赤になっていた


「えっ」

「紹介……して……」

「えーと、ちょっと二人待って」



「??」二人は顔を見合わせて待つ



「お前急に言うなよ、どっち?」

「ショートカット」

「どうしたいんだよ、お前話せるのか?」

「……わからない」

「じゃあ、まあ途中まで帰るか」

「うん」

「悪い、悪い、途中まで一緒に帰ろうぜ」

四人はホームから出て歩き出す




「あっ、こいつはうちのエース、八塚修平っていうんだ」

修平は頭下げる

「よろしく、木下優佳です」

「永井梓です」

「拓海、部活どう?」

梓が聞く

「んー、楽しいけど練習はやっぱ厳しいし、内容も中学に比べたら濃いし、ついていくのがやっとって感じかな……レギュラー入れないしな」

優佳が驚く

「えー、拓海でも入れないの?上手いのに?」

梓も賛同する

「やっぱ工業ってすごいんだね、さすが全国常連校」



「じゃあ、八塚くんはエースってことはすごい上手いんだねー」


いきなり優佳に話をふられてびっくりする修平

「そ、そんなことないです」

「修平は一年からレギュラーだよ、背も高いし、脱いだらすげえいい身体してるよ」

「ちょっ、拓海脱いだらって」

修平は真っ赤になる

「すごいって筋肉のこと?、あたし筋肉フェチなんだよね」

優佳の言葉に恥ずかしくて何もいえない修平

「すごいのは身体だけじゃないよ、プレーもだよ、お前ら野田工業の試合みたことねえの?結構修平は有名なんだけど」

「うん、だって会場違うことあるし、うちら弱いから負けたらすぐ帰っちゃうから」

優佳の言葉に修平は

(バレーしてるんだ、一緒……)

「今度俺らの試合を見てみ!すごいから、こいつ大活躍するし」

拓海、修平の背中をたたく

「痛てっ」

「修平も見に来てくださいとか言えよ、ほら」

修平は優佳の方向いた

「えっと……見てください、好きなんで!」

修平は頭下げる

三人は固まっていた

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