校庭桜、そこにはいつも光がきらめいていた
プロローグ
4月の桜が、眩しいくらいにきらめいている。
入学式を迎えた私の瞳が、希望に満ち溢れた暖かな光と、ある一人の男の子の姿を捉える。
暖かく優しい光に包まれたその男の子。
おそらく、私と同じ1年生だろう。
私は、そのきれいな顔から目が話せなかった。
少し儚げで苦しそうなその瞳。
1年生だった私は、声をかけることも出来ず、ただ黙って見ていた。
しばらくすると、一筋の涙を流し、その場を去っていった。
彼がいた場所には、一粒の宝石のような涙が光っていた。
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