略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
「萌。ご両親に挨拶に行かせて。」

「えっ?」

「一緒に住むんだから、ちゃんとしないとね。」

夜の暗闇の中、街灯の明かりが遼太郎くんを照らす。
遼太郎くんの眼差しが、声色が、とても優しくて凛々しくて、私は胸が熱くなった。
誰かにこんなに大切にされていると感じたことは初めてで、感動でうち震えてしまう。

「ありがとう。」

もう一度お礼を言うと、繋いだ手をぐっと引き寄せられる。

「愛してる。」

耳元で囁かれた愛の言葉に、私は震えるほど衝撃を受けた。
遼太郎くんの家に着くまで、嬉しいのになぜだか恥ずかしくて、顔を上げることができなかった。
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