一筋から広がる物語
-夜-

今日は特に飛び込みの仕事もなく、定時で終わり、茉柚ちゃんと約束していた居酒屋へと向かった。

入り口の引き戸を開けようとすると、
「なっちゃん!私も今着いたーー!」
と元気な茉柚ちゃんの声がした。
一緒に入り、個室へと通され、メニューを見る。
このの居酒屋「honey」は私と茉柚ちゃんのご用達で、メニューのほとんどを口にしているといっても過言ではない。お酒から食べ物まで美味しいんだー♪

「私今日はノンアルのカシスオレンジで!」
茉柚ちゃんがメニューを見たのか見てないのかぐらいの早さで飲み物を決めた。私も急いで飲み物を決める。私もノンアルにしようかな。十六夜(いざよい)にしよう!

店員さんに飲み物と食べ物を注文、飲み物が来たとたんに茉柚ちゃんは話し始めた
「昨日久しぶりに連絡きて、『飲みに行ってるから10時で迎え来て』って頼まれたの!久しぶりに会えるの嬉しくてウキウキしながら時間通りに迎えに行ったの。そしたらさ!1時間以上待たされた挙げ句、私が嫌いな人たちと飲んでたんだよーーー!?ほんっとにムカつく!遅くなったこと謝ってきたけどさすがに許せなかった!」

ここで一気にカクテル(ノンアル)を飲み干した茉柚ちゃん。思い出してこのお怒りようなので相当頭にきてたんだな。頼んでいたピザを一枚食べながら様子を見ていた。

「都合いい時にしか会ってもらえないのやっぱり辛いな・・・・・・・・。もう終わりなのかな・・・・・・・。」

実をいうと彼女は会社の男の人と世にいう不倫という関係をかれこれ数年続けている。やめろと言ったところでやめられるならもうとっくに言ってる。一度言ったけれど、曰くその人以上に思える人が見つからないそうです。私はその経験がないからただ聞いてあげることしかできない。

「でね、その後さすがにあっち悪く思ってくれて、しばらくいつものように一緒いてくれたんだけど。まだモヤモヤとれないー。」
茉柚ちゃんもピザを頬張りながら喋り出した。
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