夏の終わりとアキノソラ
「はぁ…」

めんどくさそうな、大きなため息、きまずい沈黙。



泣きすぎてうまくしゃべれなかったけど、私はなんとか『帰る』という3文字を絞り出して立ち上がった。


部屋をでて玄関で靴を履いてドアに手をかけた時だった。


「待て、」


痛いくらいの強さで、左手を掴まれる。


昨日の優しい腕とは違い、冷たく刺さるような声と温度に一瞬身じろぎし、素直にこわいと思った。



「なんで泣くんだよ、お前が。」


何も言えない。私に泣く資格がないことは、十分わかっている。

私は言葉がみつからず、黙ってしまった。


「何も言わねぇんだな。」

カズが腕をつかんだまま、ゆっくりとその場に腰をおろす。

もう、怒ってはいないようだった。
< 43 / 45 >

この作品をシェア

pagetop