dog life
病院では、連絡を受けた典子と獣医が待っていた。

「和くん、説明不足でごめんね。犬の食べてはいけないものって結構あるのよ」

典子が申し訳なさそうに、犬が食べてはいけないものを言った。カレー、ぶどう、玉ねぎなど和が驚くものが犬にとっては毒なのだ。

「とりあえず、処置をします。チョコレートを吐かせましょう」

獣医が薬を注射する。数分経つと、福は苦しそうにえづきはじめた。そして、胃の中のものを全て吐き出す。

「あっ!チョコレート出た!」

あかりが吐瀉物を指差した。ぐちゃぐちゃになっているが、ガトーショコラがたしかにある。

「もう少し対応が遅ければ、最悪の事態もありました。気をつけてくださいね」

獣医が和に微笑む。和は安心してその場に座り込んだ。福が尻尾を振って駆け寄ってくる。

「福…!よかった…!」

和は福を抱きしめる。福は和の口周りをペロペロ舐めた。



福のしつけは大変だったが、いたずらの回数は減っていき、半年経つ頃にはもういたずらはなくなった。

「ただいま〜!」

和が家に帰ると、福は必ず尻尾を振って出迎えてくれる。それで和は癒され、疲れが吹き飛んでいく。

福はいつか和を追い越して年を取り、和より先に死んでしまう。それでも、最後の時まで和は福を離したりはしない。そう和は誓った。

「福、大好きだ!」

和の腕の中で、福は「ワン!」と鳴いた。
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