君からのヘッドフォン
No.12
なぁ…こんなことってある?


俺の肩に頭を乗せて朝っぱらだっていうのに寝息を立てる栞帆。

はぁ…。

ほんとに…俺がこいつのこと好きなのわかってんのかな。

…わかってねぇのかな。

そうだとしたら俺惨めすぎね?


車内放送が、俺たちが降りる駅名を流す。

起こす、と約束したわけだし、起こさなきゃなんだけど…。

こんな気持ち良さそうじゃ起こしづらいんだけど。


「栞帆…?栞帆、栞帆」

「ん…なに…?」


回らない呂律に抵抗せずそのまま子どもみたいに話す。

擦っても擦っても目が開かないのか、涙だけがたまっている。
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