新月の夜はあなたを探しに



 上映までの時間は展示をゆっくりと見て、もう少しでプラネタリウムの上映がはじまるのだ。
 椅子を倒して暗闇の中でドームの天井を見つめた。



 「葵音さん。私、ドキドキしてきました。」
 「きっと喜ぶと思う。見たこともない星空が見えるから。」
 「楽しみです!あ、暗くなりましたね。」
 「あぁ………始まるぞ。」


 暗くなると同時に、黒葉は葵音の手をギュッと掴んだ。それをやさしく包むよう握りしめると、暗闇の中でも黒葉が微笑んだのがわかった。


 星たちが写し出されると、「わぁー……。」と小さな声で歓声を上げて、黒葉はプラネタリウムに見いっていた。
 神話の話や正座の見つけ方など、いろいろな話を真剣に聞き、一つ一つの星達を見るように、黒葉はキョロキョロと星空を眺めていた。


 そんな彼女を見つめながら、葵音は嬉しくなりぼんやりと見える黒葉を何回も盗み見ていたのだった。





 「すごかったです!!とっても綺麗で、とっても感動しました。お星さまの話も神秘的で、もっと知りたいなりました。」
 「それはよかった。おまえ、子どもみたいにはしゃいでたな。」
 「はい………でもあんなに星を見られるなんてすごいです。やっぱり、私は星が好きみたいです。」



 興奮が冷めない様子の黒葉を、微笑みながら見つめる。そんなにも楽しんだならば、次の回の上映も見ようかと誘おうとした時だった。

 黒葉の目が、ぼーっとしているのに気づいた。



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