虹が架かる手紙
それから私は毎日のようにみんなに押さえていじめに参加してしまった。
心が罪悪感で敷き詰められる日々、そんな中クラス替えが行われ、救われたと初めは思っていた。
でも、私と同じクラスに珠里と莉世がいて小滝君のクラスにも前いじめていたグループの一員がいる。
珠里はクラス替え初日から、『あいついないと学校つまらない。』と呟くようになった。
嫌な予感はしていた、でもただそれに対して笑って反論はせず『確かにね。』て返すだけ。
不安だった。自分が次に標的になるかもって。
あんなに酷いことしてよくそう思えるよねって自分が憎みたくなる。
自分はしていたくせに、裏切ったくせに、自分を守って人を傷つけてめっちゃくちゃにしたくせに。
予感はあたっていた。
1週間経った時、朝教室を開けると一気に冷めた空気が漂ったのに気づいて顔の熱が一気に冷めた。
あの時の教室と同じ空気……。
カバンを持っている手を強めて目を見開いてまっすぐ前を見ると、黒板に大きな文字が私の目に飛び込んでくる。
“ 富永 七彩は裏切り者。”
クラスにいる誰もが私を睨みつけた。
裏切りという文字に心がドキッと大きく飛び跳ねる。
『七彩が裏切りなんてするわけないじゃない。誰よ、書いたの。』
クラスの冷たい空気を割いて声をあげたのは少し嬉しそうなのが顔から消しきれていない珠里だった。
私を庇うように私の前にたつ珠里は振り返って『七彩をいじめていいのは、うちらだけなんだから。』と小声でゾクッとさせる笑顔で呟く。
て、ことはやったのは珠里たちじゃないってこと?
もしかして、小滝君が…………
違う。小滝君はそんなことするはずがない。
ないよね…
信じたい気持ちはあるけど、私は確実に裏切った。それは事実なんだから。
怖くなって、私はカバンをその場に置き捨てて黒板の文字を消す。
涙腺が崩れてちゃんと消せているのかが分からない。
『 ふふ、そーね。決めた。次のターゲットは七彩にしようかしら。』
背中腰で囁かれた言葉が私の胸を強く打ち付ける。
私は何も言い返せなかった、
言い返せていたら何かが変わっていたのかな。
黒板の文字は消えたけど私の傷は大きく残されたままだった。